フィットネスという言葉は、一般的には体を健康な状態にするために行う運動を指して使われています。そこで同様に、「ブレインフィットネス」とは脳の健康な状態を維持するための様々な取り組みをさして使われています。ここでいうBFCでは、脳を健康にするだけでなく、脳機能をより向上させていくためのコーチングとして使っております。

脳は、これまで、生存や繁殖に有利になるように進化してきました。これまでの長い進化を考えると、現在のように安心して外出ができ、食事も必要以上に摂取できる時代になったのは、人類20万年の歴史の中で、本当にごく最近です。そのため、脳の仕様は、周りが危険で食べ物が少なかった時に適応するためのものになっています。例えば、夜、音がしたとき、誰もが不安を感じ、「楽しい誰かが来たかも!」とは決して思いません。それは、長い危険な環境の中で生存に有利に適応するよう、私たちの脳はネガティブにものを見るバイアスがかかっているからです。また、集団で危険な敵や環境と戦ってきたため、集団から取り残されことは、今でもとても不安に感じるのです。何故なら、集団から外れることは、かつては死を意味したからです。また、逆に集団の中で認められることは快感と感じられるのです。また、脳は運動と共に進化したと考えられ(現在のように動かない生活はなかったのです)、運動することにより脳を活性化する因子が産生さることが明らかとなっています。身体感覚と脳機能とは密接に関係しているのです。現在、生死に直接関係しないような状況下でも昔の脳仕様が発揮され不安や恐れ、ストレスを感じているのが現状です。また、食生活も、狩猟採集生活に適応してきた私たち身体に反して、現代は完全に変わってしまっていることにも気づく必要があります。食べ物も精神状態に影響を及ぼすことがわかってきています。  

このように現代生活とマッチしてない脳仕様で、現代をよりよく創造的に生きるには、生物学的な生存・繁殖に適応してきた脳仕様をよく理解し、逆にそれを利用した脳機能の改善方法を考える必要があります。そこで、BFCでは、健康や充実した生きがいのある人生を創造するため、私が学んできたコーチングやNLP(神経言語プログラミング)の手法とともに、脳科学を中心とした、生物学、進化心理学的知識を基盤に考えられる行動変容のプログラムも取り入れて講座を開設してみました。

現在、地球温暖化や環境汚染が進み、近い将来、人類や生物全体の存続が危機的になるかどうか、私たちがそれをうまく乗り越え、より良い世界をつくることができるかどうか、とても大切な時期に私たちは生きているように思います。脳は健康になると、より身体感覚に敏感になり自然環境と調和することを好むような行動をとるようになり、共感力も上がることが明らかとなっています。また、生物の進化を振り返ると、私たちの脳は、数世代先の子孫の生存よりも、今の私たちの生存欲を優先する近視眼的な脳仕様になっています。それがこれまでの繁栄に有利だったからです。しかし、現在、人類の科学は地球全体の生態系や未来の生態系まで影響をおよぼすほど発達してしまっています。

そのような意味で、私たちは、より俯瞰的な視点、より利他的・共存的な視点がこれまで以上に必要になってきています。BFCでは、このような俯瞰的・共存的な視点をもち、しかも現在がより楽しく生きられるセルフコーチングのスキルでもあると思っております。

本BFCプログラムが幸福な人生の実現や健全な組織運営、ひいては地球環境の改善にも役立つことを願っております。